岡本太郎とchimpomについて

別のとこで書いたけどちょっとちゃんと書いたので転載してみます。
まず最初に言っておきたいのは、あの絵は正当なアートの文脈にのっとった作品であって、決して単なるらくがきではないということです。~ウェブ上でも落書きという風に勘違いしている方が結構おられますが、元の作品に傷をつけず敬意を払った形で発表していますし、批評的な視線も持ち合わせています。(バンクシーデュシャンなど、もしくはダダイズムやハプニングアートのコンセプトと比較しても明らかかと思います)
ただ、作品としてはぼくはあまり評価しません。~なぜかというと、元の作品と抽象度が違いすぎるから。
岡本太郎という人はそもそも、具象画を人生でほとんど書かなかった人です。~「明日の神話」も、第五福竜丸被爆がテーマとされていますが、中央に不気味な骸骨のようなものが描かれ、そこから火が出ていて、船の絵は隅のほうにちょっと書かれているだけです。~事実を一旦ぐしゃぐしゃに解体して、それをぐしゃぐしゃのまま書きだすっていうのが岡本太郎のスタイルなんですね。
追加された部分というのは、福島原発がほぼ見たままのような形で書かれていて、それにヤッターマン風のドクロ雲が書かれているというものです。もし岡本太郎が書くとしたら、全く違った形になったはずです。~せっかく岡本太郎作品に追加するような形で発表したのだから、もう少し違和感がないような表現にしたらよかったのになあと思うのです。
もっと言うと、こういう批判的な作品というのは、具象的だとあんまり面白くないんですよね。~例えばゲルニカが単に人が苦しむ様子を書いてたらあれだけ評価されてたでしょうか?
あと、個人的には自分らでさっさと正体バラしちゃったところも気に入らないですね(笑)~と、偉そうに書いてきましたが別に美術が専門なわけではないので、もし詳しい方がおられれば何でもつっこんでやってください!